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オトシンネグロとその近縁種達

riparian2017/08/14

基本情報と種類詳細+ウンチク



今回紹介するオトシンネグロを含むOtothyrinae亜科の仲間達は属は違えどかなり近い仲間で、現在手に入れることができる、もしくは以前に流通したことがある種をピックアップしています
丈夫で飼育しやすい、でもあまり売ってない地味なこ達です、それではどうぞ


オトシンネグロ

分類:ロリカリア科 Loricariidae オトティリナエ?亜科 Otothyrinae オトティロプシス属 Otothyropsis
学名:【Otothyropsis piribebuy】
別名:オトシンネグロス
分布:パラグアイ周辺
rarity:☆‐
体長: 雄3.0cm~3.5cm 雌3.5cm~4.0cm
推奨水槽サイズ:30cm~
寿命:3年~
餌:茶苔(珪藻)人口飼料(プレコ.コリドラスフードなどの植物質の物からフレークフードや動物質の物)生餌(イトメ等)冷凍餌(アカムシ等)
適正水温:20度~29度
適正水質:弱酸性~中性 軟水
相場:300~700円

詳細説明:
水草水槽を設置する際必ずと言ってお世話になるオトシン達、その中で並オトと呼ばれるオトシンクルス属と人気で二分し、丈夫さでは圧倒的に勝るオトシンネグロです

非常に丈夫で水質の適応範囲も広く温度耐性も冬場室内なら無加温で飼育でき夏場の高水温にも強い、しかも水槽内繁殖も容易と、とても優秀なオトシンの仲間になります
雌雄で体型、サイズに違いがありメスの方が大きくふくよかなので成熟すると簡単に判別できるようになります
数あるオトシン達の中で唯一安定的にブリードものの個体たちが流通していて、価格もリーズナブル見た目地味と言う話もありますがコケ取り能力も高く非常に優秀な種です

名前のネグロはネグロ川からではなく(ネグロ川にオトシンネグロは生息していない)そのままネグロ(黒い)からきています、オトシンネグロで流通しているものはどうやら複数種の種類がいるようで、この仲間達の詳しい判別方法は解かっていません、分布域もパラグアイ周辺から南はアルゼンチンまで広範囲によく似た多数の種が生息しているようです (ほぼ流通しているのはパラグアイ産の一種のようです)

よくオトシンネグロはHisonotus leucofrenatusと記載されているものを見かけますが、leucofrenatusはもっと大型で滅多に入ってくることがない種であることが解かっています
分類されている属もヒソノータスではなくオトティロプシスという近縁関係の属に現在在籍しています

ここ数年分類学で再分類が頻繁になされています、特にOtothyrinae亜科の中でヒソノータス属を中心に編入が多々発生していますので記憶と違う属が書かれている場合ここ数年で移動した種かもしれないです



オトシンレウコフレナートス
画像リンク http://remix-net.co.jp/?p=13129  下から2番目のバークオトシンの画像
分類:ロリカリア科 Loricariidae Otothyrinae亜科 Otothyrinae ヒソノータス属 Hisonotus
学名:【Hisonotus leucofrenatus 】
別名:大っきなオトシンネグロ、バークオトシン
分布:ブラジル サンパウロ近郊
rarity:☆3~3.5
体長: 5.0cm~7cm
推奨水槽サイズ:45cm~
寿命:3年~
餌:茶苔(珪藻)人口飼料(プレコ.コリドラスフードなどの植物質の物からフレークフードや動物質の物)生餌(イトメ等)冷凍餌(アカムシ等)
適正水温:22度~28度
適正水質:弱酸性~中性 軟水
相場:不明

詳細説明:
大きなネグロことレウコフレナートスです、よくネグロと間違えられますがこちらは比べると一回り大きく少しスレンダーな印象を受けます
ほぼ混ざりでしか輸入がなく来ても近縁の種と判別が困難なため今一認識されてない種、バークオトシンで入荷する物の中にも数種の似た種がいるようでさらに判別を困難にしています
(ヒソノータス属とオトティロプシス属は近縁で似た種が非常に多い)
ここ数年ブラジルからの生体輸入は厳しい規制が入るため中々入荷しない種になってしまいました



(旧)ヒソノータスsp.パラグアイ
画像リンク http://aquafin.jp/blog/?p=11525
分類:ロリカリア科 Loricariidae Otothyrinae亜科 Otothyrinae オトティロプシス属 Otothyropsis
学名:【Otothyropsis dialeukos 】
別名:大っきなオトシンネグロ
分布:パラグアイ周辺
rarity:☆3
体長: 5.0cm~7cm
推奨水槽サイズ:45cm~
寿命:3年~
餌:茶苔(珪藻)人口飼料(プレコ.コリドラスフードなどの植物質の物からフレークフードや動物質の物)生餌(イトメ等)冷凍餌(アカムシ等)
適正水温:22度~28度
適正水質:弱酸性~中性 軟水
相場:700~2500円

詳細説明:
大きなネグロ2こと(旧)ヒソノータスsp.パラグアイです
以前はこの名前で流通したこともありそれなりに名の知れた種になります
特徴はネグロを大きくした様な見た目と尾鰭の上下に現れる丸無地のスポット
こちらもほぼ混ざりでしか流通はないですが生息地がパラグアイな為そこそこ入ってきているようです

以前流通したときヒソノータスsp.パラグアイの名前で世に知れ渡りましたが、今年になって初めて論文で紹介され学名が付きましたOtothyropsis dialeukosといいます・・・ヒソノータスですらなくなっちゃいましたwww
これからはオトティロプシス ダイアレウコスと呼ぶのが正しいようです 呼びにくい!



オトシンニューネグロ


分類:ロリカリア科 Loricariidae Otothyrinae亜科 Otothyrinae コルンバタイア属 Corumbataia
学名:【Corumbataia tocantinensis 】
別名:コルンバタイア トカンチネンシス ニューオトシンネグロゴイアス
分布:ブラジル ゴイアス、トカンティンス周辺
rarity:☆2
体長: 3.5cm~4.5cm
推奨水槽サイズ:45cm~
寿命:3年~
餌:茶苔(珪藻)人口飼料(プレコ.コリドラスフードなどの植物質の物からフレークフードや動物質の物)生餌(イトメ等)冷凍餌(アカムシ等)
適正水温:22度~28度
適正水質:弱酸性~中性 軟水
相場:1500~2500円

詳細説明:
名前にニューネグロと付きますが上記の2種よりネグロからは少し遠いコルンバタイア属に分類されている種になります

特徴はヒソノータス属などと比べると厳つくがっしりとした頭部を持つこと、因みに見た目も違うし体色も黒くならないので実際にはネグロとは似てはいません

国内では年に一回くらいの頻度で入荷され、そこそこ手に入る種ですが、海外では非常に手に入りにくい珍しい種になっています、生息地がブラジルの為いつ規制により輸入が止まってもおかしくない珍しい種です

飼育は容易で丈夫ですが水槽低域にいることが多く低床の汚れが原因の病気などにかかり易いといった弱点もあります、入手難易度は多少高いですが見た目がごつく多種に対しても穏やかな気性を持つニューネグロは混泳水槽にお勧めの種になります



グリーンオトシン
画像リンク http://aquafin.jp/blog/?p=694
分類:ロリカリア科 Loricariidae Otothyrinae亜科 Otothyrinae ヒソノータス属 Hisonotus
学名:【Hisonotus aky 】 (旧)Epactionotus aky
別名:‐  アキちゃん
分布:アルゼンチン周辺
rarity:☆3~3.5
体長: 4.0cm~5.0cm
推奨水槽サイズ:45cm~
寿命:3年~
餌:茶苔(珪藻)人口飼料(プレコ.コリドラスフードなどの植物質の物からフレークフードや動物質の物)生餌(イトメ等)冷凍餌(アカムシ等)
適正水温:22度~28度
適正水質:弱酸性~中性 軟水
相場:2000~5000円

詳細説明:
おそらくオトシンマニア達がずっと待っている種 No.1 鮮やかな緑が美しいグリーンオトシンです

直近の輸入でも3年前、しばらくやって来ていません
これは規制によるものではなく輸出側国のアルゼンチンと日本の貿易関係があまり重要視されていないのが原因のようです、その証拠に実は今年現地のストック場にはグリーンオトシンがいたらしいのすが、日本に来ることなく国内問屋からも注文できなかったそうです、いったいどこの国に輸出されたのでしょうね

種としては美しい色彩を持ち丈夫で水槽内繁殖も可能、と言うことはない種なんですが希少性と流通価格がネックで手に入れにくい種になってしまいました

分類もいつの間にか Epactionotus属から Hisonotus属に移動していました

いづれ手に入れ繁殖を目指してみたい種です



今回画像リンクを貼ったAqua shop finさんとリミックスさんは共にオトシンや他の小型魚にも力を入れられているので興味のある人はチェックをお勧めします


rarity レア度(入手難易度)を☆で表すようにしました、☆の基準は以下の通りです
☆‐  いつでも手に入る
☆1 年間通して季節で手に入る時期が決まっている、力を入れているショップでは手に入る
☆2 数年待てば力を入れているショップでは手に入る
☆3 数年待って運がよければ手に入る
☆4 運と知識があれば手に入るかも・・・
☆5 絶望的、全て運次第 !!
この基準は輸出国側の規制などにより変動することがあります、ようはいきなり手に入らなくなり一気に急騰する可能性も・・・よくあります。
☆3以上の入手難易度の個体は中々手に入らないようです



飼い方



ネグロ含むOtothyrinae亜科の飼い方

飼育はネグロは30cm程度その他大型種は45cmの小型水槽からで良く溶存酸素量が多く濾過が効いていて水草が繁茂した環境を好みます

水質の変化に神経質な部分をもち、特に長距離輸送に非常に弱いため注意が必要で、そのため導入時にはしっかりとした水合わせを行ってください・・・がいつものオトシン種の書き出し内容ですが今回の種達はどの種も強健で温度耐性、水質耐性に優れているのでそこまでシビアな環境を用意しなくても長生きしちゃったりします

餌は茶苔や微生物を主食にしていますが複数を飼育している場合足らなくなりますので植物質の餌を中心に動物質の餌もバランスよく与えてください (はっきりいって何でも良く食べます)

水質の富栄養化と低床の汚れ、残餌の腐敗は病気の原因になるためこまめな水換えと低床の掃除を行う必要があります

バランスの取れた環境で少数での飼育の場合、給餌しなくても水槽内で発生する苔や微生物で長期飼育が可能です。 (バーク等の大きな種は足りなくなるので給餌は必要です)

今回のネグロたちは
 〔中性付近のある程度綺麗な水質〕 〔隠れるのに適した流木など〕 〔ちょっかいかけてくる混泳魚がいない環境〕
 〔常識を超えない範囲の水温〕 〔混泳魚に給餌〕 〔そこそこ綺麗な低床〕
これが揃えば簡単に飼育できます、〔混泳魚に給餌〕は別に専用の餌を与えなくても何でも食べるため気にしなくても問題ないといった意味で、脇役としてついでで飼育できちゃいます
あまり放っておくと餌が足りず消えていってしまうこともあるので、ある程度痩せていないかなどのチェックはしてあげてください、痩せている場合は水を腐食させにくくなくなりにくいプレタブなどを食べきれる大きさにカットして入れておけば大体大丈夫です。


混泳



本種を攻撃、捕食しない大多数の種と混泳が可能です
口に入らないサイズのエビ等とも問題なく飼育できます
他のオトシンの仲間とも問題なく飼育でき、本種から示威行為を行うことはほぼありません

左並オトことオトシンクルス属と右ニューネグロさん


注意点



オトシンの仲間を購入される場合、
[入荷直後のもの] [肌が荒れている] [体色が薄い、くすんでいる] [体表や各鰭に白点等の異物が付いている]
[お腹がへっこんでいるもの] [ふらついている]
などの個体は購入しないようにしてください、購入個体の状態によって飼育難度は上下します、状態の悪い個体は非常に弱く回復せずに死んだり場合によっては寄生虫や病気のキャリアの可能性もあります。

オトシンクルスを含むナマズの仲間は、
[病魚薬] [長距離輸送] [高水温] [溶存酸素量低下] [皮膚に影響を受ける寄生虫や病気] [水質の富栄養化による病気] に非常に弱いため注意が必要です
この種の仲間は弱ってくると体表の粘膜が薄くなり病気にかかり易くなります、高水温+水質の富栄養化+低床の汚れは致命的ですので弱らせないよう環境の整備をしてあげてください

夏季の高水温時は飽和溶存酸素量が低くなり(温度によって水に溶け込める酸素の量が違う)酸欠になりやすいため強めのエアレーションを推奨します

動物質ばかりの餌を与えていると体調を崩したり寿命が短くなることがあるため、植物質の餌もバランスよく与えてください

オトシン近縁種が捕食された場合硬い骨格が釣り針のかえしのようにささり捕食した魚も被害を受ける場合がありますので注意が必要です

オトシン近縁種は柔らかい茶苔以外の苔を食べるようには体の作りがなってなく、特に糸状の苔は口と歯の形状から噛み切れず食べることができません。 苔取り目的で飼育される場合知っておいてください。


繁殖



おそらくオトシンの繁殖で一番簡単、有名なのが今回紹介したグループになります
実際国内海外問わず繁殖に成功している情報は多いようです
確認できているだけでも、ネグロやグリーンオトシン他 Otothyrinae亜科数種の繁殖情報が知られています

まずは幾つかポイントがあるのでそれを記載しておきます

   1. 酸素の多い清浄な水であること       (水換えが有効)
   2. 水温が一定以上で安定している       (低すぎても高すぎても駄目)
   3. 栄養価の高い餌で生体の活性が上がっている
   4. 外敵などからストレスを感じていない
   5. 水草や流木など落ち着ける環境がある  (特に水草は産卵床になるので平たい葉を持つ水草は有効)
   6. 雌雄が揃っている  (一番重要 オトシンは雌が多いので雌雄確保は意外と難しい)

まずは雌雄を判別し揃える必要があります、判別のポイントは体型(雌のほうが大きくふくよか)とOtothyrinae亜科のグループは雌雄差が頭部に現れる場合が多く特に鼻腔の大きさで雌雄を判別することができます(雄の方が鼻腔がでかい)

お腹部分が太く全体的にふくよかな雌

雄はスマートな体型


雌雄を揃えて皆さんで繁殖に挑戦してみてください。

総評



地味ながら強健、水草水槽の景観の守護者で優秀な脇役、ネグロ率いるOtothyrinaeの仲間達をあなたの水槽にも如何でしょうか・・・

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